いも工房

わたしの趣味をここに綴ります(※当ブログは転載完全フリーです)

クラッチを外します

実はとうの昔の11月21日に終わっている作業なんですが、フライホイールとACジェネレーターに続いてクラッチを取り外します。

RVFのクラッチってNC30のクラッチに比べると切れがかなり良いので、これも私にとっては貴重で希少な部品です。RVFのクラッチヤフオクに出てくることは、はっきり言って無いに等しいんじゃないかと思います。


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エンジンの右側のカバー(クラッチケースカバーともいう)を外したところです。
 左の一番でかいのが「クラッチ」、T2FとかT1Fとか刻印されているのが「パルサーローター」、パルサーローターよりも右にあるのは「セルの回転をパルサーローターに伝えるための部品」です。
ちなみに、パルサーローターの中心の軸=クランクシャフト=エンジンの回転、なんです。


イメージ 2
まずパルサーローターを外します。
この画像の左側に写っている専用工具が必要です。専用工具の正式名称は“ギヤホルダー”です。


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去年のエンジン製作の際の画像の流用で、パルサーローターが外れている状態の画像なんですが、パルサーローターのギヤとクラッチアッシーのギヤが写っています。
 先ほどのギヤホルダーを両ギヤの噛合部(の上)に合うように挟んでおいて、パルサーローターの中心のボルトを緩めます。フライホイールを外す時のようにソケットレンチをパイプで延長すれば難なく緩められると思います。

 このギヤホルダーって意外と高くて3000円以上するので、合うものがあれば他の物で代用するのも一案ですが、ギアが痛む可能性はもちろんあるのでお勧めはできません。ちなみに私はギヤホルダーを購入する以前はとんでもない物を挟んで外していましたが、責任を持てないので具体的にはお教えできません(ゴメンナサイ)。


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これも去年のエンジン製作の際の画像の流用です。
クラッチアッシーの外周に窪みが付けられていることが分かると思います。
この画像では窪みが2つ写っています。90度ごとに一ヶ所窪みがあるってことのようです。

一つ前の画像では、窪みがクランクシャフト(パルサーローターの中心)とメインシャフト(クラッチアッシーの中心に相当する軸)の間に来ている状態になっています。パルサーローターが窪みの部分をギリギリで通り抜けてくるってことです。つまり、その窪みを利用するために位置を合わせないとパルサーローターを手前に引き抜けない訳です。


ここで一枚目の画像を見てください。
クラッチアッシーに大きなサークリップ(Cリング)が写っています。
そのサークリップの奥に雪印みたいな模様の付けられた部品があります。
さらにその奥にベアリングのような部品が見えます。

前述の通り、クラッチアッシーの中心に相当する軸はメインシャフトと言います。そのメインシャフトは中空になっていて、その中にはロッドが通っています。このロッドがクラッチプッシュロッドです。
クラッチレバーを引くとクラッチプッシュロッドが押されます。
クラッチプッシュロッドが押されると、上述のベアリングのような部品が持ち上げられて、その結果雪印部品、サークリップ、その上の部品(切れ込みが3つ入っているヤツ)も持ち上げられます。
この“切れ込み3つ部品が持ち上げられること”が、“クラッチが切れるという現象”とイコールだということになります。
クラッチが切れていれば、クラッチアッシー全体が回転していても、その回転はクラッチアッシーの中心軸であるメインシャフトに伝わりません。
※メインシャフトの回転はギアを通してカウンターシャフトという軸に伝えられます。カウンターシャフトはフロントスプロケット(ドライブスプロケット)の中心軸です。


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サークリップを外して、雪印部品とベアリング風部品を外しました。
軸(メインシャフト)の中心の穴に、前述のプッシュロッドが写っています。

少し溜まっているオイルに触れているこげ茶色のプレートは“バネ”です。バネ機能を持った円盤で、外すと皿のように外側が反り上がっています。
その反り上がりが前述の“切れ込み3つ部品”を向こう側に押し付けていて、その押し付け力がすべてのクラッチ板を密着させています(もちろんクラッチがミート状態の時だけ)。
クラッチプッシュロッドを包むように見えているのがメインシャフト。
メインシャフトに装着されている(ネジ込まれている)“切り欠きが4つあるナット”がクラッチロックナットです。
メインシャフトに対して“カシメ”がなされています。

「この“カシメ”をドライバーか何かを打ち込んで起こしてから、クラッチロックナットを外せ」ってマニュアルには書いてあるんですが、私はある時からこれを無視するようになりました。理由は以下の3点です。
・難易度激高。ハンパじゃないってくらいガンガン殴ってもドライバーの先が入って行かない。
・あんまり殴ると燃焼室中でピストン上堆積カーボンのショック剥離が起こって、次にクランフシャフトを動かした時にシリンダーに致命的損傷が発生しそうで怖い。
・「クラッチロックナットを緩めるのに要するレンチトルク」と「カシメ起こしの有無」の因果関係がロクすっぽ無いように思えてならない。※つまり起こさなくても、同じように普通に緩みだしてくれるんです。

クラッチロックナットを、2つ目画像の右側の“クラッチロックナットレンチ”という専用工具で外します。
これも確か3000円以上しますから、何かで代用できるといいんだけど、他にいい工具がありますかね。

で、これを緩める時も、当然どこかの軸の動きを何らかの手段で強制停止させてからでないと実施不能です。

なのですが、どういう訳かこの場合はギヤホルダーでパルサーローターのギヤとクラッチアッシーのギヤの動きを止めても、クラッチロックナットは外れてくれません(この場合は方向の問題で噛合部の下で止めます)。壊れる可能性があるから、このやり方は実施してはイケナイと思います。
※イタズラ的に試した時の結果や理屈は省きます。

マニュアルに書いてある通り、ギアを6速に入れてリヤブレーキを強く踏みながらクラッチロックナットを緩めれば・・・、
普通にちゃんとあっさり緩んでくれるんですよね~。
ただ、クラッチロックナットレンチとクラッチロックナットの噛み合わせ状態を手のアシストで正常に保ちつつおもいきりソケットレンチに力を掛けてやらないといけないので、リヤブレーキを踏むことについては自分以外に別途アシスタントを呼ぶ必要があります。


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外したクラッチロックナットです。カシメ部分が壊れています。
メインシャフトに刻まれているネジ溝は、私のチャランポランな認識ではそんなに痛まないように思いますが、少しは痛みます。
責任は持てませんけど、クラッチロックナットを再度組みつける際に格別の不都合は、私としては感じませんでした。

リヤタイヤのアクスルボルト(チェーン側)の巨大ナットは、これの真似をしてカシメ起こしをサボるとネジ溝がキッチリ痛むっぽいですね。