いも工房

わたしの趣味をここに綴ります(※当ブログは転載完全フリーです)

タタキ池-21(ミョウバン使用)

前投稿の思案通りに近所のスーパーにミョウバンを買いに行ってみました。

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とりあえずこれを見つけたので、商品棚にあった8袋すべてを買い占めました。
1袋105円でした。1袋で50gしか入っていないので、8袋でも400gです。

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裏面にはこんなことが書いてあります。


さて“ミョウバン”って何者でしょうね。
『 』は、インターネットで調べた結果のコピーです。※途中の1,2行だけ私が表現を変えたりしてあります。
大明化学工業さんのHPからコピーさせていただきました。ここの情報が一番しっかりしていると思います。

ミョウバンとはR3R1(SO4)2・12H2Oの組成式で表される3価の金属(R3)と1価の金属(R1)の硫酸塩の複塩の総称で、R3としてはAl、Fe、Crなど、R1としては、K、NH4、Naが良く知られております。
中でもカリミョウバンAlK(SO4)2・12H2OとアンモニウムミョウバンAlNH4(SO4)2・12H2Oは食品添加物に指定され、製菓膨張剤や漬け物などに広く用いられております。
○○社のミョウバン類は精選された原料と最新式の連続粒状結晶装置により製造され、厳しい品質管理と生産管理による安定した品質と供給体制は市場でも高い評価を受け、食品添加物をはじめとする各種の用途に安心してご使用いただいております。

カリミョウバンアンモニウムミョウバンの性質は類似していますが比較すると次の通りです。

ミョウバン共通の特性
水に溶け易く、溶解度が温度の上昇と共に急激に増加する
アルコールには溶けないがグリセリンには徐々に溶ける。
水溶液は加水分解により酸性(1%液PH=3.5)を呈し、収れん性がありタンパク質を凝固させる。

カリミョウバン
分子式及び分子量 AlK(SO4)2・12H2O=474.39
加熱すると徐々に結晶水を放出し、300℃までに完全に脱水して、乾燥物(焼ミョウバン)となり、さらに強熱すると650℃付近から亜硫酸ガスが分解放出し始め、950℃附近において熱分解が完了し、硫酸カリウム(K2SO4)と酸化アルミニウム(Al2O3)になる。
乾燥物(焼ミョウバン)は水に徐々に溶け、吸湿性があり、空気中の水分を吸収してAlK(SO4)2・12H2Oに戻る。

アンモニウムミョウバン
分子式及び分子量 AlNH4(SO4)2・12H2O=453.34
加熱すると徐々に結晶水を放出し、300℃までに完全に脱水して、乾燥物(焼アンモニウムミョウバン)となり、さらに強熱すると400℃~550℃の間に硫酸アンモニウム[(NH4)2SO4]を放出し、650℃附近から亜硫酸ガスが分解放出し始め、950℃附近において熱分解が完了し、酸化アルミニウム(Al2O3)になる。
乾燥物(焼アンモニウムミョウバン)は水に徐々に溶け、吸湿性があり、空気中の水分を吸収してAlNH4(SO4)2・12H2Oに戻る。』




たたき池施工への応用例としては、
「タタキ ミョウバン 防水」
 ↑
興味のある方は、こんな様なキーワードでググってみてください。
たたき池施工時のミョウバン使用体験記が何点か出てくると思います。



早速その金沢の焼ミョウバンを実践使用してみます。
買ってきた焼ミョウバンのすべてをバケツに入れてかき混ぜて溶解を試みましたが、ほとんど溶けてくれませんでした。しょうがないので、その状態のまま池に入れて使用しました。
ミョウバンには、普通のミョウバン焼ミョウバンがあって、水に溶けると効能はどちらも同じらしいのですが、焼ミョウバンは溶けるのにやたらと時間を喰うそうです。
化学構造としては、焼ミョウバン結晶水が無くなっているもの、ということになるのだそうな。

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ろくすっぽ溶けてくれないので、焼ミョウバンは最初はほとんど水面に浮いていましたが、丸1日放っておいたらほとんど溶けてくれました。
焼ミョウバンと水の投入が完了したのは5月6日の19時頃でしたが、この画像は5月7日18時頃の撮影です。


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さらに2日経過した5月9日18時頃の撮影です。
水を満水にしてから丸3日経つのに、ブロック外側面への水の浸出具合が前投稿の水投入試験(の5時間後時点)より明らかに改善されているのが分かりますね。

水位の変化は以下の通りとなりました。
・5月6日19時  0.0mm(開始)
・5月7日7時  -3.0mm
・5月7日18時 -5.0mm
・5月8日7時  -8.0mm
・5月8日18時 -10.0mm
・5月9日7時  -12.0mm
・5月9日18時 -13.5mm
・5月10日7時 降雨有りのため評価不能

つまり、5月6日19時から5月9日18時の間の丸3日間で13.5mmしか水位が下がらなかったんです。
最初の水入れ試験では「丸1日で50mmの水位ダウン」でした。
1/10以下になったんですよね。結構な効果です。
ダメで元々どころではないですね。

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5月11日の朝にミョウバン水をすべて抜いた後の状態です。
ブロックの穴からの水滴浸出がまったく発生していません。
明らかに効果抜群だったんですね~。



硫酸カルシウム、すなわち化学式でCaSO4と表記する粉体は、口語的には“石こう”と言います。
“石こうボード”とか“骨折した時に使うギプス”とかが、石こうの用途の代表格です。

ウェブ上で調べたら
「CaイオンとSO4イオンが水溶液中に同時に存在すると、CaSO4すなわち石こうが容易に生成する」
のだそうです。

多分
「Ba(OH)2とH2SO4の水溶液を混ぜるとBaSO4が容易に生成沈殿する」
という中学の理科で習った現象と同じ理屈の現象なのではないでしょうか。
※BaSO4は正しくは“硫酸バリウム”と呼称しますが、普通口語的には単に“バリウム”と呼ばれます。皆さんが胃検診の時に無理やり飲まされて「ゲップは我慢してください」とか指示されるあれです。



理屈にこだわってグダグダと記述したのには理由があります。

たたき池のコンクリートの細孔塞ぎに一応は成功した形になったので、この投稿記事がその作業の処方として標準プロトコルにでもされると私としては責任が持てませんので、知る得る範囲内の理論は紹介しておこうということなんです。真似をされるにしても自己責任にてお願いします。その結果について当方は一切責任を負えません。

「内側壁面への防水モルタル塗布をサボっても、ミョウバン使えば何とかなるのさ」という判断はまだ尚早です。この池の運営管理において、また一ヵ月後くらいに私が再度ムンクの叫び顔を出す可能性も否めないと思います。

適当に想像する範囲でも、リスクはそれなりに考えられます。例えば以下の通り。

考えられるリスク
・コンクリートが中性化して、その強度劣化や鉄筋のサビ発生の原因になり得る。
・防水性能の耐久性がまだ検証されていない。一ヶ月くらいで石こうが崩れて、塞がれた細孔が再度貫通するかも知れない。
ミョウバンに毒性は無いか? 魚の健康に影響しないか?

実は今回の場合は以下のことが実際に起こりました。
「コンクリートブロック内に回り込んだミョウバンがブロック内のいたる所で反応して結晶化(多分石こうに)したようで、緑色の防水塗膜を内側から(コンクリートやブロックの側から)膨らませたり割ったりしているように見て取れる箇所が結構見受けられる。」
「緑色の防水塗料の塗り量が元々薄い所が、どういう訳かミョウバン処理以前よりも見栄え上妙に薄くなって、下のコンクリートの白さが目立ってしまっている箇所が多い」

今回使用した防水塗料の耐水性が完璧であるかどうかも未確認です。
常時冠水箇所にも本当に対応するのだろうか、と少々不安に思ったりもしています。実際のところは分からないんですが。

でも、私はこれで納得して、この池の通常運営を既に開始しました。
5月12日(日)から開始して例のナマズや色々なサブキャラクターを既に泳がせています。
水位下がりは1日に1mm程度のようで、蒸発による水位下がりもあるだろうことを考えると、ほとんど下がっていないと言えそうに思っています。

まあでも、緑色の防水塗膜の表面品位が多少落ちた感じがするのは事実なので、秋頃になったら防水性塗料の塗り足しをやるのも一案のような気がしますね~。