いも工房

わたしの趣味をここに綴ります(※当ブログは転載完全フリーです)

NC30国内仕様の89年式と90~93年式

 ウサギのくれた欧州仕様の密書ですが、欧州仕様がどうかしたのかって言われそうなので、まず密書を解読する趣旨です。

 NC30って出力が59PS仕様で、つまり馬力規制がなされているのですが、NC30の輸出仕様にはその規制が掛かっていないと一般的に言われています。※輸出する相手国によっては日本国内仕様と同様の馬力規制が掛かっているという話もあります。

 諸説がありますが、その無規制輸出仕様の場合は63PSだとか65PSだとか70PSだとか色々なことが言われていますね。
 馬力規制がなされていない仕様と規制が掛かっている仕様の中身の差を見出せば、馬力規制に相当する仕掛けがどの部分なのかが判明して、すなわち出力を上げるためにどこをいじればいいのかがある程度見えてくる、ということになります。なので、輸出仕様と国内仕様との仕様差異は某掲示板でも良く話題になります。今回の密書解読はそれと同じ趣旨の目的によるものです。
 
 さて、前投稿で国内仕様のNC30は「89年式がK型」で「90,91年式がL型」で「92,93年式はN型」だと記述しました。そして、密書の欧州仕様は具体的な年式は不明ながらL型とM型ということのようです。
 密書の中にM型なんていう聞いたことのない型式があるということは、密書中のL型が国内仕様のL型に相当するかどうかも定かでないと言わざるを得ないように思います。そんな理由で国内仕様のK型、L型、N型をおさらいしておきます。

 皆さんご存知の通りで、国内仕様のL型とN型は基本的に同じです。K型はこれと違っています。どう違うのかというと、これも皆さんご存知の通りで、あまり意味のない細かい違いとカラーリングの違いを除けば、重要な部分として以下の通りの差異があります。私の認識と言うより、それが一般的認識だろうと思います。
K型(89年式)
①フロントフォークに減衰機能がついていない
②リヤサスに別体タンクがついていない
フライホイールとACジェネレーターが日立製
④メインジェットが4つとも#110
L型,N型(90~93年式)
①フロントフォークに減衰機能がついている
②リヤサスに別体タンクがついている
フライホイールとACジェネレーターがND製
④メインジェットがフロントバンクが#115でリヤバンクが#118

①②は省略するとして、
③と④、特に④が重要と思いますが、このメインジェットの違いにはどういう意味があるのでしょうか。
熱による故障の対策との説が一般的には有力ですが、『キャブやエアクリの中身が違うから』『エンジンがちょっと違っているから』との説もあります。

メインジェットを太らせた理由はとりあえず横に置いておいて、上記『 』内の2説を別の表現に翻訳すると、以下の通りになります。
・89年式と90~93年式ではキャブ(メインジェット以外)やエアクリの中身が違っている。
・89年式と90~93年式ではエンジン(フライホイールとACジェネレーター以外)の中身が違っている。
それって本当なんでしょうか。もちろん重箱の隅突き的な細かい違いは色々とある筈ですが、仕様上の本質的な違いが本当にあるのでしょうか。

「その答えはパーツリストにある」かというと、実はそうでもなくて(と私は思います)、部品番号が違っていても部品は本質的に完全同一と言うことは普通によくあります。

 で、まずエンジンです。私が今までに色々なNC30エンジンを見てきた中で、89年式エンジンと90以降年式エンジンの構成部品に出力特性に影響しそうな本質的差異(フライホイールとACジェネレーター以外)を見出したことは一度もないんですよね。
 実は私「89のエンジンには90以降年式のエンジンにはない出力上の何らかの美味しい仕掛けがしてあるのでは?」という期待をかなり真剣にしていた時期があって、その期待に諦めがつくまでその視野で結構熱心にエンジン実物を調べていたんですが、「“こりゃ完全に同じだな”と思わざるを得ない」という結果に結局のところは行き着いてしまいました。
科学的に“同じ”と分析し切った訳でもないし、見逃しがないとの保障もありませんけど。

見出した差らしき事項をあえて挙げると
・シートリングとポートの間のバリが89年式はちょっと大きめだったような気がしないでもない。
この一点くらいです、認識に残っているのは。

 エンジンを構成する部品の部品番号は、89年式の途中でピストンが番号変更になっていて、シリンダーヘッドガスケットの品番は89年式と90~93年式で違う番号になっています。他には、L型(90,91年式)の途中でパルサーローターの品番が変更になっています。出力に関係なさそうな部分での部品番号違いは他にも何箇所かあります。
 89年式と92年式のパルサーローターを比較してみたこともあるんですが、違いがあるようには私の見立てでは思えませんでした。少なくとも突起の位置や突出高さは同じでした。それに同じ型式の途中で変更しているくらいだから、モノは本質的に同一である方が自然だと思えます。
 ヘッドガスケットは、部品を注文する時に「89年式用と言って発注しても90以降年式用と言って発注しても同じ部品が出る」と店舗で言われて、それから“どうせ一緒なんじゃないかな~”と思うようになってしまって、外した純正デフォルトガスケットを保管しておいて各年式エンジンのガスケットの厚みを実際に測定して比較するっていうことは、残念ながらやっていません。ま、この点は認識が甘いです。
 いずれにしても総括的な結論として「NC30が89年式から90年式に移行する時にエンジンの仕様変更なんてしていない」と私は個人的に思っています。

 なんですけど好みや贔屓くらいはあって、今までに接した中で妙に吹け上がりの軽かったエンジン2個体が両方ともN型(92,93年式)のエンジンだったので、今手元に残している予備エンジンは、敢えて意図的に92年式を選択しているんですよね~。車体に組んだこともないのに、色気づくように変に期待しながら大事に保管しています。
 蒼鬼号に組むつもりでいるんだけど、いつになることやら・・・。

 次回はキャブとエアクリです。結論を先に言ってしまうと89年式でも90~93年式でもメインジェット以外は完全に一緒だと思います。一応、あくまで“思います”ですけど。

 つまらない投稿ですね。画像ないし。キャブとエアクリは上の2行だけにして、さっさと密書に行った方が良さそうな気がしてきました。