いも工房

わたしの趣味をここに綴ります(※当ブログは転載完全フリーです)

腰下の簡易メンテナンス

ちょっとがっくりな35の腰下だったんですが、まだ100%使わないと決めた訳でもないので、先行きを見越して簡単にメンテナンスしてから保管することにします。
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後バンク右側気筒ピストンリング(トップ)の開口部です。
V4エンジンは、
“シリンダー抜いたりピストン外したりなんて、そう簡単にはできませんよ”
という作りになっています。
シリンダーブロックがクランクケースと一体になっていて、腰下の定期メンテなんて想定していないような造りなんです。
・シリンダー錆びの影響がどのくらい出ているか。
・他のエンジン個体と比べてどうなのか。
上記2点を知る目的のためにバラせないなりのヘッポコ調査として、トップピストンリングのクリアランスを目視で評価します。
この気筒の評価結果は0.4mm。
他の気筒は後バンク左側0.3mm、前バンク右側0.3mm、前バンク左側0.4mmでした。
マニュアルには、標準値0.18~0.28mm、使用限度0.65mmとなっています。
私のインチキ評価に過ぎないものの、結果が0.4mmの気筒は実際のところとして標準値に入っているとはちょっと思えません。


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これはヘッドガスケットを除去した後のクランクケースの合わせ部です。
ヘッドを外した時点でガスケットのゴム材が大量に付いていましたが、すべて綺麗に除去されています。
アセトンをティッシュに含ませて、さっとひと拭き。アンチョコです。

一部ゴムが残っているようにも見えますが残っていません。メタルが侵食されているんです。


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これは自作工具です。
A4の資料を入れるクリアファイル(皆さんが普段使っているものです)を鋭利なハサミで切り抜いただけのものです。厚みは実測で190ミクロンでした。工業規格としては200ミクロンかもしれません。


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それをこんな感じで使用します。
シリンダーとピストンの間に挟まった厄介な固形物を除去します。
ピストンはシリンダーの中である程度左右に動くので、きつくて入らない時はピストンの中央を指で反対側に寄せます。

この画像は作業終了後のヤラセ写真でシリンダーの上の方の汚れがすべて除去された後ですが、ピストンが一番上に来ている状態ではシリンダー内壁のトップリング上死点より上の部分に汚れがたっぷり付着しているのでやりにくいです。
ピストンを少し下に下げてシリンダーとピストンの隙間掃除だけを先に確実に実行し、ピストンを上下する(クランクシャフトを廻す)ことの安全性を確保してから次の作業に移ります。


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これは同じクリアファイルのフィルムを丸く差し込んだ状態です。
この状態でピストン上部のカーボンを除去します。
ケミカルで洗浄してもいいんでしょうが、私は好みの問題でこの方法を使っています。
物理的に除去するだけなので、面倒だわ傷は付くわで、まったくお勧めできません。

さて、このあたりで“北斗気にしない”が開眼した、っていうのも少しありますが、
“次の素材エンジン開けたってどうせ錆びてるよ”という百太郎の声が聞こえたので、この腰下を使用する気持ちが再燃し始めました。朝令暮改です。

シリンダーがイマイチなので、あまり期待して徹底的にエネルギー使って組んでも、それで結果ががっかりではあんまりなので、今回は基本方針として“なるべく省力”を心がけようと思います。
ですので、ピストントップのカーボン除去はやらないことにします。
実はこれでピストンの頭部は結構綺麗な方なんです。このフィルムを丸く差し込んだ画像の気筒なんかは私の評価だと“メッチャ綺麗”です。
30エンジンに比べて35エンジンはピストントップにカーボンが溜まりにくいのかも知れません。

プラグホールの真下部分だけ綺麗に洗浄してメタルの輝きを露出させてあるのは・・・、

単車に組んだ後のプラグ診断の時に綺麗なピストントップが見えるとすごく気分がいいからです。30の場合は直ぐに真黒になるんですが、以前に簡単にオーバーホールした35エンジンのここはいつまでも金属の色が見えていたので、それだけでも妙に気分が良かったんですね。