いも工房

わたしの趣味をここに綴ります(※当ブログは転載完全フリーです)

汁んキュウ

時は2017年3月某日・・・、
場所は秘密です。





イメージ 1
居った。
多少の目隠しの効いた場所で日向ぼっこ。イシガメのオス。

イメージ 2
末広がりが顕著。そして甲羅後縁のギザギザの反り上がりが素晴らしい。

でも、リリース。
過去の感染症(?)による甲羅のボロボロっちさと多甲板が減点要素と思えたので。

それとあと一点・・・、
ひっくり返して後ろ足の付け根のところに私の鼻を持っていって匂いを嗅いでみた。

そうしたら、ちょっとだけ匂った。
クサガメみたいな悪臭でもないけど、臭腺から分泌されたらしき匂いがする。
正直言って“匂い”じゃなくて“臭い”なのだけれど、イシガメの名誉のために“匂い”という言葉を使おう。

“微妙な刺激臭”といった語義の範疇に入る匂いではある。匂いの質的にはクサガメの臭腺の悪臭とはまったくの別物。
クサガメの臭腺分泌物の臭いは明らかに硫黄系悪臭の感じがするけれど、
イシガメの臭腺分泌物の場合は微妙に“柑橘系”っていう言葉を連想するようなツーンとした香し感が混ざっている。でもその香し感は匂い全体の1~2割ってところだろうか。
理科の化学の時間で言うところの六角形(ベンゼン環)系の構造が程々に含まれている影響で、微妙に香しいのだろうか。

この匂いって、私にとってはズバリ“イシガメの匂い”です。



イメージ 3
今度はイシガメオス成体。

ひっくり返して匂いを確認してみましょう。
 ↓
今度は明確に液体がプシュっと出るのが見えました。


イメージ 4
その状況は、こんな感じです。
説明用の切り張り画像に赤線で囲った部分が、放出された臭腺汁の滲んでいるところです。
プシュっと出された瞬間には液滴の形状を保っていますが、液体の接触角が水と違って低い(=液体の濡れ特性が高い)から、直ぐに平らに滲みわたってしまいます。

だから分泌された液体が液滴状に盛り上がっているような分かり易い絵を撮影するのは結構難しいですね。


イメージ 5
直後撮影でもう1枚。
さっきの画像よりも滲みわたりが進んで液部分の面積が少し拡大しているのが分かるかと思います。

匂いについては上述のとおりでそれほどイヤな匂いでもない(と思いたいです)。



で、この匂いなり臭腺からの液体分泌ですけど、私の認識では全体の半分以上のイシガメがこれをやります。
つまり、イシガメ全体のうちの半分以上は、野外で捕獲されて身の危険を感じた時
 ・目視で到底確認できない程度の小さい穴の臭腺から半透明の白い液体を出す
 あるいは
 ・白い液体の分泌は視認できないけれど、臭腺の辺りから匂いを出す(or匂いがしているのが分かる)
ということになります。
ただし、あくまでも私のフィールド活動においての話です。

この匂いなり分泌なりが、本来のイシガメにおいてもあり得ることなのか? 正常なのか?
私はその答を知りません。


甲羅干ししている個体を捕まえてひっくり返して匂いを嗅いでみても匂わないものの、一旦水に漬けてみると匂っているのが分かる
 とか
どういう訳か右後足の付け根側の臭腺近辺だけがちょっとだけ匂うのに、左後足付け根臭腺近辺はまるで匂わない(そういうことが多い。左後足付け根臭腺だけ匂うというパターンはない。)
 とか
そういうパターンが多かったりするので、興味深いです。

発見して手に取る前の時点で「コイツはいかにも過去にクサガメの遺伝子が入った混ざりイシガメだなあ」と思えるような見映えの個体は白汁の分泌量が多め、という傾向も明らかにあります。


ということはまあ、
「混ざりイシガメだから匂ったり分泌したりするのであって、純血イシガメなら何も匂いはしないし分泌もしないし臭腺なんてない」という想像は、あくまで推論としてですが成り立つということになります。
ただし私はその疑問についての正解を知りません。何が正解で本質なのか把握していません。


それと、匂わないからと言って安心(クサガメ混ざりイシガメでないと判断)はできないと思います。
つまり、たとえば
 ・臭腺の穴が詰まっていて分泌できない
 ・そんなに身の危険を感じなかったから分泌しなかった
 ・ご老体だから分泌機能が衰えていて分泌しなかった
 ・その他(ご想像にお任せします)
なんていうことも考えられます。


 「イシガメなのに臭腺由来らしき匂いがする」とか
 「イシガメにも一応臭腺はあって微妙に匂うのです」
とかいう情報はインターネット上にはありません。少なくとも私は見たことがない。


「イシガメなのに微妙に匂うから混ざりイシガメなのかも知れないな?」という情報なら稀にありますね。
でもまあ、ほとんどないです。


後ろ足の付け根から半透明の白“汁”を出すのが見えた・・・、
これを確認してしまうと、「もろにウン“キュウ”でもないけどクサガメ混ざりなんだろうな~」と推測したくなってしまいます。

“汁”と“キュウ”から取って シルンキュウ(汁んキュウ)。


だけど、微妙に匂うだけなら・・・、
「そう・・・、特に右足の付け根側だけが微妙に匂う程度なら、純粋イシガメでもあり得るのさ。気にしなくていいのさ。」
私はそう思いたい。


どうしてそう思うのか?
他人の飼っているカメに対して変なことを言わない、 それがセオリーだと思うから。


今日の私の投稿のような内容のことを書けば、きっと何人もの人がイヤな思いをする。
そう思ったのだけれど、今日は敢えて書きました。
悪意はないつもりなので、どうかご容赦を願います。